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〘391㌻〙

第1章

1 神かみの御意みこゝろによりてキリスト・イエスの使󠄃徒しととなれるパウロ、書ふみをエペソに居をる聖󠄃徒せいと、キリストに在ありて忠實ちゅうじつなる者ものに贈おくる。 2 願ねがはくは我われらの父󠄃ちちなる神かみおよび主しゅイエス・キリストより賜たまふ恩惠めぐみと平󠄃安へいあんと汝なんぢらに在あらんことを。

3 讃ほむべきかな、我われらの主しゅイエス・キリストの父󠄃ちちなる神かみ、かれはキリストに由よりて靈れいのもろもろの祝福しくふくをもて天てんの處ところにて我われらを祝しくし、 4 御前󠄃みまへにて潔󠄄きよく[*]瑕きずなからしめん爲ために、世よの創はじめの前󠄃さきより我等われらをキリストの中うちに選󠄄えらび、[*或は四の「潔󠄄く」の下を「瑕なく愛にをらしめん爲に」と譯し、五なる「愛をもて」を除く。] 5 御意みこゝろのままにイエス・キリストに由より愛あいをもて己おのが子ことなさんことを定さだめ給たまへり。 6 是これその愛いつくしみ給たまふ者ものによりて我われらに賜たまひたる恩惠めぐみの榮光えいくわうに譽ほまれあらん爲ためなり。 7 我われらは彼かれにありて恩惠めぐみの富とみに隨したがひ、その血ちに賴よりて贖罪あがなひ、すなはち罪つみの赦ゆるしを得えたり。 8 神かみは我われらに諸般もろもろの知慧󠄄ちゑと聰明さときとを與あたへてその恩惠めぐみを充みたしめ、 9 御意みこゝろの奧義おくぎを御意みこゝろのままに示しめし給たまへり。 10 即すなはち時とき滿みちて經綸けいりんにしたがひ、天てんに在あるもの、地ちにあるものを悉ことごとくキリストに在ありて一ひとつに歸きせしめ給たまふ。これ自みづから定さだめ給たまひし所󠄃ところなり。 11 我われらは凡すべての事ことを御意みこゝろの思慮おもんぱかりのままに行おこなひたまふ者ものの御旨みむねによりて預あらかじめ定さだめられ、キリストに在ありて神かみの產業さんげふと爲せられたり。 12 これ夙はやくよりキリストに希望󠄇のぞみを置おきし我われらが神かみの榮光えいくわうの譽ほまれとならん爲ためなり。 13 汝なんぢ等らもキリストに在ありて、眞󠄃まことの言ことば、すなはち汝なんぢらの救すくひの福音󠄃ふくいんをきき、彼かれを信しんじて約束やくそくの聖󠄃せい靈れいにて印いんせられたり。
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14 これは我われらが受うくべき嗣業しげふの保證ほしょうにして、神かみに屬つけるものの贖あがなはれ、かつ神かみの榮光えいくわうに譽ほまれあらん爲ためなり。

15 この故ゆゑに我われも汝なんぢらが主しゅイエスに對たいする信仰しんかうと凡すべての聖󠄃徒せいとに對たいする愛あいとを聞ききて、 16 絕たえず汝なんぢらのために感謝󠄃かんしゃし、わが祈いのりのうちに汝なんぢらを憶おぼえ、 17 我われらの主しゅイエス・キリストの神かみ、榮光えいくわうの父󠄃ちち、なんぢらに智慧󠄄ちゑと默示もくしとの靈れいを與あたへて、神かみを知しらしめ、 18 汝なんぢらの心こゝろの眼めを明あきらかにし、神かみの召めしにかかはる望󠄇のぞみと聖󠄃徒せいとにある神かみの嗣業しげふの榮光えいくわうの富とみと、 19 神かみの大能たいのうの勢威󠄂いきほひの活動はたらきによりて信しんずる我われらに對たいする能力ちからの極きはめて大おほいなるとを知しらしめ給たまはんことを願ねがふ。 20 神かみはその大能たいのうをキリストのうちに働はたらかせて、之これを死人しにんの中うちより甦よみがへらせ、天てんの所󠄃ところにて己おのれの右みぎに坐ざせしめ、 21 もろもろの政治まつりごと・權威󠄂けんゐ・能力ちから・支󠄂配󠄃しはい、また啻たゞに此この世よのみならず、來きたらんとする世よにも稱󠄄となふる凡すべての名なの上うへに置おき、〘284㌻〙 22 萬よろづの物ものをその足あしの下したに服󠄃したがはせ、彼かれを萬よろづの物ものの上うへに首かしらとして敎會けうくわいに與あたへ給たまへり。 23 この敎會けうくわいは彼かれの體からだにして[*]萬よろづの物ものをもて萬よろづの物ものに滿みたし給たまふ者ものの滿みつる所󠄃ところなり。[*或は「萬の物に在りて萬の物に滿ち給ふ者」と譯す。]

第2章

1 汝なんぢら前󠄃さきには咎とがと罪つみとによりて死しにたる者ものにして、 2 この世よの習󠄃慣ならはしに從したがひ、空󠄃中くうちゅうの權けんを執とる宰つかさ、すなはち不ふ從順じゅうじゅんの子こらの中うちに今いまなほ働はたらく靈れいの宰つかさにしたがひて步あゆめり。 3 我等われらもみな前󠄃さきには彼かれらの中うちにをり、肉󠄁にくの慾よくに從したがひて日ひをおくり肉󠄁にくと心こゝろとの欲ほっする隨まゝをなし、他ほかの者もののごとく生うまれながら怒いかりの子こなりき。 4 されど神かみは憐憫あはれみに富とみ給たまふが故ゆゑに我われらを愛あいする大おほいなる愛あいをもて、
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5 咎とがによりて死しにたる我等われらをすらキリスト・イエスに由よりてキリストと共ともに活いかし(汝なんぢらの救すくはれしは恩惠めぐみによれり) 6 共ともに甦よみがへらせ、共ともに天てんの處ところに坐ざせしめ給たまへり。 7 これキリスト・イエスに由よりて我われらに施ほどこしたまふ仁慈なさけをもて、其その恩惠めぐみの極きはめて大おほいなる富とみを、來きたらんとする後のちの世々よゝに顯あらはさんとてなり。 8 汝なんぢらは恩惠めぐみにより、信仰しんかうによりて救すくはれたり、是これおのれに由よるにあらず、神かみの賜物たまものなり。 9 行爲おこなひに由よるにあらず、これ誇ほこる者もののなからん爲ためなり。 10 我われらは神かみに造󠄃つくられたる者ものにして、神かみの預あらかじめ備そなへ給たまひし善よき業わざに步あゆむべく、キリスト・イエスの中うちに造󠄃つくられたるなり。

11 されば記憶きおくせよ、肉󠄁にくによりては異邦󠄆人いはうじんにして、手てにて肉󠄁にくに行おこなひたるかの割󠄅禮かつれいありと稱󠄄となふる者ものに無む割󠄅禮かつれいと稱󠄄となへらるる汝なんぢら、 12 曩さきにはキリストなく、イスラエルの民みん籍せきに遠󠄄とほく、約束やくそくに屬ぞくする諸般もろもろの契󠄅約けいやくに與あづかりなく、世よに在ありて希望󠄇のぞみなく、神かみなき者ものなりき。 13 されど前󠄃さきに遠󠄄とほかりし汝なんぢら今いまキリスト・イエスに在ありて、キリストの血ちによりて近󠄃ちかづくことを得えたり。 14 -15 彼かれは我われらの平󠄃和へいわにして己おのが肉󠄁にくにより、樣々さまざまの誡命いましめの規のりより成󠄃なる律法おきてを廢はいして二ふたつのものを一ひとつとなし、怨うらみなる隔󠄃へだての中籬󠄂なかがきを毀こぼち給たまへり。これは二ふたつのものを己おのれに於おいて一ひとつの新あたらしき人ひとに造󠄃つくりて平󠄃和へいわをなし、 16 十字架じふじかによりて怨うらみを滅ほろぼし、また之これによりて二ふたつのものを一ひとつの體からだとなして神かみと和やはらがしめん爲ためなり。 17 かつ來きたりて、遠󠄄とほかりし汝なんぢ等らにも平󠄃和へいわを宣のべ、近󠄃ちかきものにも平󠄃和へいわを宣のべ給たまへり。 18 そはキリストによりて我われら二ふたつのもの一ひとつ御靈みたまにありて父󠄃ちちに近󠄃ちかづくことを得えたればなり。 19 然されば汝なんぢ等らはもはや、旅󠄃人たびびとまた寄寓人やどりびとにあらず、聖󠄃徒せいとと同おなじ國人くにびとまた神かみの家族かぞくなり。〘285㌻〙
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20 汝なんぢらは使󠄃徒しとと預言者よげんしゃとの基もとゐの上うへに建󠄄たてられたる者ものにして、キリスト・イエス自みづからその隅すみの首石おやいしたり。 21 おのおのの建󠄄造󠄃物たてもの、かれに在ありて建󠄄たて合あはせられ、彌增いやましに聖󠄃せいなる宮みや、主しゅのうちに成󠄃なるなり。 22 汝なんぢ等らもキリストに在ありて共ともに建󠄄たてられ、御靈みたまによりて神かみの御住󠄃みすまひとなるなり。

第3章

1 この故ゆゑに汝なんぢら異邦󠄆人いはうじんのためにキリスト・イエスの囚人めしうどとなれる我われパウロ―― 2 汝なんぢ等らのために我われに賜たまひたる神かみの恩惠めぐみの經綸けいりんは汝なんぢら聞ききしならん、 3 即すなはち我われまへに簡單かんたんに書かきおくりし如ごとく、この奧義おくぎは默示もくしにて我われに示しめされたり。 4 汝なんぢ等らこれを讀よみてキリストの奧義おくぎにかかはる我わが悟さとりを知しることを得うべし。 5 この奧義おくぎは今いま御靈みたまによりて聖󠄃せい使󠄃徒しとと聖󠄃せい預言者よげんしゃとに顯あらはされし如ごとくに、前󠄃代ぜんだいには人ひとの子こらに示しめされざりき。 6 即すなはち異邦󠄆人いはうじんが福音󠄃ふくいんによりキリスト・イエスに在ありて共ともに世嗣よつぎとなり、共ともに一體いったいとなり、共ともに約束やくそくに與あづかる者ものとなる事ことなり。 7 我われはその福音󠄃ふくいんの役者えきしゃとせらる。これ神かみの能力ちからの活動はたらきに隨したがひて我われに賜たまふ惠めぐみの賜物たまものによるなり。 8 我われは凡すべての聖󠄃徒せいとのうちの最いと小ちひさき者ものよりも小ちひさき者ものなるに、キリストの測はかるべからざる富とみを異邦󠄆人いはうじんに傳つたへ、 9 また萬物ばんもつを造󠄃つくり給たまひし神かみのうちに世々よゝ隱かくれたる奧義おくぎの經綸けいりんの如何いかなるもの乎かをあらはす恩惠めぐみを賜たまはりたり。 10 いま敎會けうくわいによりて神かみの豐ゆたかなる知慧󠄄ちゑを天てんの處ところにある政治まつりごとと權威󠄂けんゐとに知しらしめん爲ためなり。 11 これは永遠󠄄とこしへより我われらの主しゅキリスト・イエスの中うちに、神かみの定さだめ給たまひし御旨みむねによるなり。 12 我われらは彼かれに在ありて彼かれを信しんずる信仰しんかうにより、臆おくせず疑うたがはずして神かみに近󠄃ちかづくことを得うるなり。 13 されば汝なんぢらに請󠄃こふ、わが汝なんぢ等らのために受うくる患難なやみに就つきて落膽きおちすな、是これなんぢらの譽ほまれなり。
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14 -15 この故ゆゑに我われは天てんと地ちとに在ある[*]諸族しょぞくの名なの起󠄃おこるところの父󠄃ちちに跪ひざまづきて願ねがふ。[*或は「全󠄃家」と譯す。] 16 父󠄃ちちその榮光えいくわうの富とみにしたがひて、御靈みたまにより力ちからをもて汝なんぢらの內うちなる人ひとを强つよくし、 17 信仰しんかうによりてキリストを汝なんぢらの心こゝろに住󠄃すまはせ、汝なんぢらをして愛あいに根ねざし、愛あいを基もとゐとし、 18 凡すべての聖󠄃徒せいととともにキリストの愛あいの廣ひろさ・長ながさ・高たかさ・深ふかさの如何いか許ばかりなるかを悟さとり、 19 その測はかり知しる可べからざる愛あいを知しることを得えしめ、凡すべて神かみに滿みてる者ものを汝なんぢらに滿みたしめ給たまはん事ことを。

20 願ねがはくは我われらの中うちにはたらく能力ちからに隨したがひて、我われらの凡すべて求もとむる所󠄃ところ、すべて思おもふ所󠄃ところよりも甚いたく勝󠄃まさる事ことをなし得うる者ものに、 21 榮光えいくわう世々よゝ限かぎりなく敎會けうくわいによりて、又󠄂またキリスト・イエスによりて在あらんことを、アァメン。〘286㌻〙

第4章

1 されば主しゅに在ありて囚人めしうどたる我われなんぢらに勸󠄂すゝむ。汝なんぢら召めされたる召めしに適󠄄かなひて步あゆみ、 2 事こと每ごとに謙󠄃遜けんそんと柔和にうわと寛容くわんようとを用もちひ、愛あいをもて互たがひに忍󠄄しのび、 3 平󠄃和へいわの繋つなぎのうちに勉つとめて御靈みたまの賜たまふ一致いっちを守まもれ。 4 體からだは一ひとつ、御靈みたまは一ひとつなり。汝なんぢらが召めしにかかはる一ひとつ望󠄇のぞみをもて召めされたるが如ごとし。 5 主しゅは一ひとつ、信仰しんかうは一ひとつ、バプテスマは一ひとつ、 6 凡すべての者ものの父󠄃ちちなる神かみは一ひとつなり。神かみは凡すべてのものの上うへに在いまし、凡すべてのものを貫󠄄つらぬき、凡すべてのものの內うちに在いましたまふ。 7 我等われらはキリストの賜物たまものの量はかりに隨したがひて、おのおの恩惠めぐみを賜たまはりたり。 8 されば云いへることあり 『かれ高たかき處ところに昇のぼりしとき、多おほくの虜とりこをひきゐ、人々ひとびとに賜物たまものを賜たまへり』と。 9 旣󠄁すでに昇のぼりしと云いへば、まづ地ちの低ひくき處ところまで降󠄄くだりしにあらずや。 10 降󠄄くだりし者ものは即すなはち萬よろづの物ものに滿みたん爲ために、もろもろの天てんの上うへに昇のぼりし者ものなり。 11 彼かれは或ある人ひとを使󠄃徒しととし、或ある人ひとを預言者よげんしゃとし、或ある人ひとを傳道󠄃者でんだうしゃとし、或ある人ひとを牧師ぼくし・敎師けうしとして與あたへ給たまへり。 12 これ聖󠄃徒せいとを全󠄃まったうして職つとめを行おこなはせ、キリストの體からだを建󠄄たて、
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13 我等われらをしてみな信仰しんかうと神かみの子こを知しる知識ちしきとに一致いっちせしめ、全󠄃まったき人ひと、すなはちキリストの滿みち足たれるほどに至いたらせ、 14 また我等われらはもはや幼童わらべならず、人ひとの欺騙󠄃あざむきごとと誘惑まどはしの術󠄃てだてたる惡巧わるだくみとより起󠄃おこる樣々さまざまの敎をしへの風かぜに吹ふきまはされず、 15 ただ愛あいをもて眞󠄃まことを保たもち、育そだちて凡すべてのこと、首かしらなるキリストに達󠄃たっせん爲ためなり。 16 彼かれを本もととし全󠄃身ぜんしんは凡すべての節󠄄々ふしぶしの助たすけにて整とゝのひ、かつ聯つらなり、肢體したいおのおの量はかりに應おうじて働はたらくにより、その體からだ成󠄃長せいちゃうし、自みづから愛あいによりて建󠄄たてらるるなり。

17 されば我われこれを言いひ、主しゅに在ありて證あかしす、なんぢら今いまよりのち異邦󠄆人いはうじんのその心こゝろの虛無むなしきに任まかせて步あゆむが如ごとく步あゆむな。 18 彼かれらは念おもひ暗󠄃くらくなりて其その內うちなる無知むちにより、心こゝろの頑󠄂固かたくなによりて神かみの生命いのちに遠󠄄とほざかり、 19 恥はぢを知しらず、放縱ほしいまゝに凡すべての汚穢けがれを行おこなはんとて己おのれを好色かうしょくに付わたせり。 20 されど汝なんぢらは斯かくの如ごとくならん爲ためにキリストを學まなべるにあらず。 21 汝なんぢらは彼かれに聞きき、彼かれに在ありてイエスにある眞󠄃理まことに循したがひて敎をしへられしならん。 22 即すなはち汝なんぢら誘惑まどはしの慾よくのために亡ほろぶべき前󠄃さきの動作ふるまひに屬つける舊ふるき人ひとを脫ぬぎすて、 23 心こゝろの靈れいを新あらたにし、 24 眞󠄃理まことより出いづる義ぎと聖󠄃せいとにて、神かみに象かたどり造󠄃つくられたる新あたらしき人ひとを著きるべきことなり。〘287㌻〙

25 されば虛僞いつはりをすてて各自おのおのその隣となりに實まことをかたれ、我われら互たがひに肢えだなればなり。 26 汝なんぢら怒いかるとも罪つみを犯をかすな、憤恚いきどほりを日ひの入いるまで續つゞくな。 27 惡魔󠄃あくまに機會をりを得えさすな。 28 盜ぬすみする者ものは今いまよりのち盜ぬすみすな、寧むしろ貧󠄃まづしき者ものに分󠄃わけ與あたへ得うるために手てづから働はたらきて善よき業わざをなせ。
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29 惡あしき言ことばを一切いっさいなんぢらの口くちより出いだすな、ただ時ときに隨したがひて人ひとの德とくを建󠄄たつべき善よき言ことばを出いだして聽きく者ものに益えきを得えさせよ。 30 神かみの聖󠄃せい靈れいを憂うれひしむな、汝なんぢらは贖罪あがなひの日ひのために聖󠄃せい靈れいにて印いんせられたるなり。 31 凡すべての苦にがき・憤恚いきどほり・怒いかり・喧噪さわぎ・誹謗そしり、および凡すべての惡意あくいを汝なんぢ等らより棄すてよ。 32 互たがひに仁慈なさけと憐憫あはれみとあれ、キリストに在ありて神かみの汝なんぢらを赦ゆるし給たまひしごとく汝なんぢらも互たがひに赦ゆるせ。

第5章

1 されば汝なんぢら愛あいせらるる子供こどものごとく、神かみに效ならふ者ものとなれ。 2 又󠄂またキリストの汝なんぢらを愛あいし、我われらのために己おのれを馨かうばしき香かをりの献物さゝげものとし犧牲いけにへとして、神かみに献さゝげ給たまひし如ごとく愛あいの中うちをあゆめ。 3 聖󠄃徒せいとたるに適󠄄かなふごとく、淫行いんかう、もろもろの汚穢けがれ、また慳貪むさぼりを汝なんぢらの間うちにて稱󠄄となふる事ことだに爲すな。 4 また恥はづべき言ことば・愚おろかなる話はなし・戯言たはむれごとを言いふな、これ宜よろしからぬ事ことなり、寧むしろ感謝󠄃かんしゃせよ。 5 凡すべて淫行いんかうのもの、汚けがれたるもの、貪むさぼるもの、即すなはち偶像󠄃ぐうざうを拜をがむ者もの等どものキリストと神かみとの國くにの世嗣よつぎたることを得えざるは、汝なんぢらの確かたく知しる所󠄃ところなり。 6 汝なんぢら人ひとの虛むなしき言ことばに欺あざむかるな、神かみの怒いかりはこれらの事ことによりて不ふ從順じゅうじゅんの子こらに及およぶなり。 7 この故ゆゑに彼かれらに與くみする者ものとなるな。 8 汝なんぢら舊もとは闇やみなりしが、今いまは主しゅに在ありて光ひかりとなれり、光ひかりの子供こどものごとく步あゆめ。 9 (光ひかりの結むすぶ實みはもろもろの善ぜんと正義たゞしきと誠󠄃實まこととなり) 10 主しゅの喜よろこび給たまふところの如何いかなるかを辨わきまへ知しれ。 11 實みを結むすばぬ暗󠄃くらき業わざに與くみする事ことなく反かへつて之これを責せめよ。 12 彼かれらが隱かくれて行おこなふことは之これを言いふだに恥はづべき事ことなり。 13 凡すべて斯かゝる事ことは責せめらるるとき、光ひかりにて顯あらはさる、顯あらはさるる者ものはみな光ひかりとなるなり。 14 この故ゆゑに言いひ給たまふ 『眠ねむれる者ものよ、起󠄃おきよ、死人しにんの中うちより立たち上あがれ。 然さらばキリスト汝なんぢを照てらし給たまはん』
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15 されば愼つゝしみてその步あゆむところに心こゝろせよ、智かしこからぬ者ものの如ごとくせず、智かしこき者ものの如ごとくし、 16 また機會をりをうかがへ、そは時とき惡あしければなり。 17 この故ゆゑに愚おろかとならず、主しゅの御意みこゝろの如何いかんを悟さとれ。 18 酒さけに醉ゑふな、放蕩はうたうはその中うちにあり、寧むしろ御靈みたまにて滿みたされ、 19 詩しと讃美さんびと靈れいの歌うたとをもて語かたり合あひ、また主しゅに向むかひて心こゝろより且かつうたひ、かつ讃美さんびせよ。〘288㌻〙 20 凡すべての事ことに就つきて常つねに我われらの主しゅイエス・キリストの名なによりて父󠄃ちちなる神かみに感謝󠄃かんしゃし、 21 キリストを畏かしこみて互たがひに服󠄃したがへ。

22 妻つまたる者ものよ、主しゅに服󠄃したがふごとく己おのれの夫をっとに服󠄃したがへ。 23 キリストは自みづから體からだの救主すくひぬしにして敎會けうくわいの首かしらなるごとく、夫をっとは妻つまの首かしらなればなり。 24 敎會けうくわいのキリストに服󠄃したがふごとく、妻つまも凡すべてのこと夫をっとに服󠄃したがへ。 25 夫をっとたる者ものよ、キリストの敎會けうくわいを愛あいし、之これがために己おのれを捨󠄃すて給たまひしごとく汝なんぢらも妻つまを愛あいせよ。 26 キリストの己おのれを捨󠄃すて給たまひしは、水みづの洗あらひをもて言ことばによりて敎會けうくわいを潔󠄄きよめ、これを聖󠄃せいなる者ものとして、 27 汚點しみなく皺しわなく、凡すべて斯かくのごとき類たぐひなく、潔󠄄きよき瑕きずなき尊󠄅たふとき敎會けうくわいを、おのれの前󠄃まへに建󠄄たてん爲ためなり。 28 斯かくのごとく夫をっとはその妻つまを己おのれの體からだのごとく愛あいすべし。妻つまを愛あいするは己おのれを愛あいするなり。 29 己おのれの身みを憎にくむ者ものは曾かつてあることなし、皆みなこれを育そだて養󠄄やしなふ、キリストの敎會けうくわいに於おけるも亦またかくの如ごとし。 30 我われらは彼かれの體からだの肢えだなり、 31 『この故ゆゑに人ひとは父󠄃ちち母ははを離はなれ、その妻つまに合あひて二人ふたりのもの一體いったいとなるべし』 32 この奧義おくぎは大おほいなり、わが言いふ所󠄃ところはキリストと敎會けうくわいとを指させるなり。 33 汝なんぢ等らおのおの己おのれのごとく其その妻つまを愛あいせよ、妻つまも亦またその夫をっとを敬うやまふべし。
 398㌻ 

第6章

1 子こたる者ものよ、なんぢら主しゅにありて兩親ふたおやに順したがへ、これ正たゞしき事ことなり。 2 『なんぢの父󠄃ちち母ははを敬うやまへ(これ約束やくそくを加くはへたる誡命いましめの首はじめなり) 3 さらばなんぢ幸福さいはひを得え、また地ちの上うへに壽いのち長ながからん』 4 父󠄃ちちたる者ものよ、汝なんぢらの子供こどもを怒いからすな、ただ主しゅの薰陶くんたうと訓戒くんかいとをもて育そだてよ。

5 僕しもべたる者ものよ、キリストに從したがふごとく畏おそれをののき、眞󠄃心まごころをもて肉󠄁にくにつける主人しゅじんに從したがへ。 6 人ひとを喜よろこばする者ものの如ごとく、ただ目めの前󠄃まへの事ことのみを勤つとめず、キリストの僕しもべのごとく心こゝろより神かみの御旨みむねをおこなひ、 7 人ひとに事つかふる如ごとくせず、主しゅに事つかふるごとく快こゝろよくつかへよ。 8 そは奴隷どれいにもあれ、自主じしゅにもあれ、各自おのおのおこなふ善よき業わざによりて主しゅより其その報むくいを受うくることを汝なんぢら知しればなり。 9 主人しゅじんたる者ものよ、汝なんぢらも僕しもべに對たいし斯かく行おこなひて威󠄂嚇おびやかしを止やめよ、そは彼かれらと汝なんぢらとの主しゅは天てんに在いまして偏󠄃かたより視みたまふことなきを汝なんぢら知しればなり。

10 終󠄃をはりに言いはん、汝なんぢら主しゅにありて其その大能たいのうの勢威󠄂いきほひに賴よりて强つよかれ。 11 惡魔󠄃あくまの術󠄃てだてに向むかひて立たち得えんために、神かみの武具󠄄ぶぐをもて鎧よろふべし。 12 我われらは血肉󠄁けつにくと戰たゝかふにあらず、政治まつりごと・權威󠄂けんゐ、この世よの暗󠄃黑くらきを掌つかさどるもの、天てんの處ところにある惡あくの靈れいと戰たゝかふなり。 13 この故ゆゑに神かみの武具󠄄ぶぐを執とれ、汝なんぢら惡あしき日ひに遭󠄃あひて仇あたに立たちむかひ、凡すべての事ことを成󠄃就じゃうじゅして立たち得えんためなり。〘289㌻〙 14 汝なんぢら立たつに誠󠄃まことを帶おびとして腰󠄃こしに結むすび、正義たゞしきを胸當むねあてとして胸むねに當あて、 15 平󠄃和へいわの福音󠄃ふくいんの備そなへを靴くつとして足あしに穿󠄂はけ。 16 この他ほかなほ信仰しんかうの盾たてを執とれ、之これをもて惡あしき者ものの凡すべての火矢ひやを消󠄃けすことを得えん。 17 また救すくひの冑かぶとおよび御靈みたまの劍つるぎ、すなはち神かみの言ことばを執とれ。
 399㌻ 
18 常つねにさまざまの祈いのりと願ねがひとをなし、御靈みたまによりて祈いのり、また目めを覺さまして凡すべての聖󠄃徒せいとのためにも願ねがひて倦うまざれ。 19 又󠄂またわが口くちを開ひらくとき、言ことばを賜たまはり、憚はばからずして福音󠄃ふくいんの奧義おくぎを示しめし、 20 語かたるべき所󠄃ところを憚はばからず語かたり得うるように、我わがためにも祈いのれ、我われはこの福音󠄃ふくいんのために使󠄃者つかひとなりて鎖󠄃くさりに繋つながれたり。

21 愛あいする兄弟きゃうだい、主しゅに在ありて忠實まめやかなる役者えきしゃテキコ、我わが情󠄃况ありさま、わが爲なす所󠄃ところのことを具󠄄つぶさに汝なんぢらに知しらせん。 22 われ彼かれを遣󠄃つかはすは、我わが事ことを汝なんぢらに知しらせて、汝なんぢらの心こゝろを慰なぐさめしめん爲ためなり。

23 願ねがはくは父󠄃ちちなる神かみおよび主しゅイエス・キリストより賜たまふ平󠄃安へいあんと信仰しんかうに伴󠄃ともなへる愛あいと、兄弟きゃうだいたちに在あらんことを。 24 願ねがはくは朽くちぬ愛あいをもて我われらの主しゅイエス・キリストを愛あいする凡すべての者ものに御惠みめぐみあらんことを。〘290㌻〙
 400㌻